アートの時間「村上隆 もののけ 京都」
みなさん、こんにちは!
今回のブログは、学芸員の資格を持っている私がおすすめの美術展についてご紹介するコーナーです。
「アートの時間」Favorite ART EXHIBITION by s.t
第2回目は京都府の京都市京セラ美術館で2024年2月3日(土)~9月1日まで開催されている『村上隆 もののけ 京都』です。
日本の現代美術の最前線で活躍する村上隆の約8年ぶり、東京以外で初めての大規模個展になります。
なんと来場者数は10万人を突破したみたい!(す、すごいですね)
皆さんは村上隆といえば、あの「笑顔のお花」を思い浮べる方も多いのではないでしょうか。
私もこの展覧会に訪れる前は笑顔のお花の絵を描いている人というイメージしかなかったのですが、実は村上隆は「スーパーフラット理論」という新しい概念を生み出し、現代美術シーンに重要な影響を及ぼしたアーティストなんです。
「スーパーフラット理論」とは、ハイカルチャー(文学やクラシック音楽、古典絵画など上流階級がたしなむ文化)とローカルチャー(テレビやポピュラー音楽、大衆文学など一般市民がたしなむ文化)の境目を曖昧にする表現のことです。
ちょっと難しいかも…?
具体的にどういうことなのかというと、村上隆の場合は、浮世絵などの日本の伝統的な美術とアニメなどの日本のポップカルチャーの間に二次元性(奥行きのない平面的な表現)という類似展を見つけ、それを一つの画面の中に表現しているのです。
そうして制作された作品たちは時代やジャンル、そして既存のヒエラルキーから解放されて、私たちにアートの価値や現代の社会について考えさせてくれます。
今回の展覧会はそんなスーパーフラット理論に基づいて、江戸時代に京都を中心に活躍した絵師たちの絵を村上隆が独自に解釈・引用し、再構築した新作・国内初公開作品を多数展示しています。
作品たちの一部をちらり。
ぜひ皆さんもお時間がありましたら一度展覧会へ足を運んでいただき、村上ワールドを堪能してみてくださいね!