アートの時間「キュビスム展 美の革命」
みなさん、こんにちは!
今回のブログは、学芸員の資格を持っている私がおすすめの美術展についてご紹介するコーナーです。
「アートの時間」Favorite ART EXHIBITION by s.t
私は高校生の頃、大好きなアイドルのミュージックビデオにある画家が描く絵画の世界観が映し出されているのを見て「絵画には私の知らない世界が広がっているのかもしれない」「その謎を知りたい」と思ったのをきっかけに、大学でも美術学科に進学しました。私生活でも休日には美術館に行くことが趣味になっています。
今回ご紹介するのは、上野の国立西洋美術館で2023年10月3日~2024年1月28日に開催されていた『キュビスム展 美の革命』です。
展覧会の内容を簡単に説明すると、キュビスムの起源からその広がりまでの作品を50年ぶりに振り返る大回顧展になっています。
キュビスムを知らない人もいるので、ここで簡単に説明をさせていただきますね。
キュビスムとは20世紀初めにパリでパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという二人の画家によって作り出された新たな美術表現の試みのことです。
従来の絵画は対象を写実的に描いていたのですが、「キュビスム」という表現は、対象を様々な角度から見たイメージを1枚の絵に描いているのです。
また「キュビスム」の技法で描かれている作品には、油絵具やアクリル絵の具だけで描かれているのではなく、作品のなかに新聞の切れ端や楽譜などを貼り付けているものもあります。
まさに現代アートのはじまりといっても過言ではないですよね。
今回の展覧会では、今では知らない人がいないピカソ作品など様々な絵画の巨匠たちの作品がずらーと並んでいました…。圧巻…ー。
そのなかでも一際目についた作品が、
ロベール・ドローネー ≪パリ市≫ 1910-1912年
横幅4mのもおよぶ大きさの作品には中央にギリシア神話に出てくる三美神、右側にはエッフェル塔、左側には橋や船などが描かれています。
私は最初この作品を見たときにはまず大きさに啞然としましたが、じっくりと鑑賞するうちに過去、そして当時のパリの現在を繋ぐことで、パリを讃えているように思えました。
そして、パリの街に巨大な裸婦像が出現している様子は不自然でありながらも異様な美しさを放っていて、その場から離れられなくなっていました。
このように、美術館には何かしら新しい美しさとの出会いがあるのでやめられないですね。
今回のアートの時間はここまで。次回もお楽しみに!