裏話 Part.3 the BROAD

80

さて2022年の取材の続きの話でもしょうかと思っているI.Mです

2024年やっと暑さを凌げる季節になりました。この季節といえばこの場所…というような、そんな経験はないでしょうか?

雪が降るとやはり地元の札幌を思い出し、カッコつけて2014年と2018年に行ったニューヨークなんかも思い出してしまいます。季節的に今は秋?こんな肌寒い時には=コート…なんて(これは場所ではないが)。今回はコロナ時期にマスクをして、コートを着て行ったブロードの話しをしようと思います。前回の終わりに“次回は「ロサンゼルス自然史博物館の話」”で締めていましたが変更!(笑)

 

私はこの業界に入る前に気になっていたアーティストがいたのだが、それはキース・ヘリングとロイ・リキテンスタインである。私の友人でもある人間が専門学校でポップアートを描いていて、それに触発され、なんとなく好きな絵柄や構図を見つけたのがこの両作家である。

当時は札幌のロフト(…?)でポストカードを見つけては買いあさり、壁一面に貼っていた記憶がある。懐かしい…。今でも実家の元自分の部屋にはトムのポスター額とポストカードが年季と共に貼り付けてある。

 

2022年の取材前、下調べをしている際に『The BROAD』は外せない美術館だと思った。同行するエバハート・ファンクラブのKに嘆願、もちろん!と一つ返事をもらったが、おそらく「この人トム・エバハート以外のアーティストにも興味があるんだ…ふ〜ん」と思ったことだろう。

以前にアップした動画では写真のカット割ばかりをお見せしたが、今回はより詳しく語っていきたい。

キース・ヘリングは常設ではなかった為、一番好きなロイ・リキテンスタイン(以下ロイ)の話がメインになる。他には草間彌生、村上隆、奈良美智など日本を代表するアーティストも揃っていた。トムの友人であったバスキア、POPアートの巨匠アンディ・ウォーホル等が広い空間に並び、圧巻の一言だった。

 

『The BROAD』

© Estate of Roy Lichtenstein
Douglas M. Parker Studio, Los Angeles

 

アートコミュニティーに携わってきたイーライ&エディス・ブロード夫妻。以前お伝えした現代美術館(MoCA)の設立委員長を務めたイーライ氏と、このブロード夫妻は、2010年8月に私財を投じて現代美術館を開設することを発表。「金銭的に余裕があることが芸術鑑賞の条件にならないように」というブロード夫妻の意向により設立されたのがこの「The BROAD」。なんと入場はコンセプトに沿って無料。これだけの作品を収蔵していて無料というのはすごい。

© Estate of Roy Lichtenstein
Douglas M. Parker Studio, Los Angeles

 

© Estate of Roy Lichtenstein
Douglas M. Parker Studio, Los Angeles

 

エントランスからエスカレーターを昇り、そこには360度コンテンポラリーアート一色で、スタートはもちろんロイから。ポスターや画集などでしか見ていなかった本物(原画)が10点以上。想像よりも大きく感動し、時間が止まってしまった。

以前トム・エバハートが、彼のレジェンド作品である『The Last Supper』の意味合いを語ってくれた事もフラッシュバックした。ロイが亡くなり、あまりの悲しさと最後に食事をした事をモチーフに表現され、オマージュとして作品内に描かれた窓にはロイのタッチを入れるという、にくい演出もある。そんな事を思い出し、作品を頭に思い描きつつ鑑賞。ロイの特徴的なタッチ、そして斬新な色使い。癒しとはまた違った感性で、自然と笑みが溢れていたと思う。

ロイと言えばアメコミを彷彿とさせる構図が有名だが、ストリートアートも手掛けていたトムにとっても、そういった点が共感材料の一つだったのだろう。

© The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts/Artists Rights Society (ARS), New York

 

© The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts/Artists Rights Society (ARS), New York

 

無数のロイ作品を堪能し順路は様々だが、待ってましたと言わんばかりのアンディ・ウォーホル!こちらも生で見るのは初めて。数々の有名作品がある中、もちろん目を引いたのはマリリン・モンロー、そしてスーパーマン。普段は興味があるものにしか目に留まらない私だが、この『The BROAD』はニューヨークで鑑賞したMOMA以来の感動を覚えたミュージアムだった。いずれニューヨークで行ったMOMAの話もしようと思う。

1階に戻りグッズSHOPへ。ロイの画集、ブロードのカットソー、バスキアのグッズを購入。今では自分の部屋のコレクションに埋もれている…(笑)

やはり私は現代アート(ポップアート)が好きなんだなぁ〜と思う。いつか、いつの日かトムもBROADに飾られる日を待ち侘びて…。

そうそう、タイムリーな話だが、昨日のドジャースの優勝パレードがBROADのあるストリートを通過した。まさしくロサンゼルスを代表する場所である。

 

・『The BROAD』

221 S Grand Ave, Los Angeles, CA 90012 アメリカ合衆国

ロサンゼルスのダウンタウンのグランド アベニューにある現代美術館。博物館の名前は、ブロード アート コレクションを収容する1億4,000万ドルの建物に資金を提供した慈善家イーライとエディス・ブロードにちなんで名付けられた。常設コレクション、ギャラリーへの一般入場は無料。(Wikipedia引用)

 

・ロイ・リキテンスタイン

アメリカ合衆国の画家。新聞連載の通俗な漫画の1コマを、印刷インクのドットまで含めてカンバスに拡大して描いた作品群で有名。漫画の持つ単純だが強烈な線、単純化された色彩などの表現力を油彩で表現している

1923年10月27日 ニューヨーク州 マンハッタン生まれ

1997年9月29日 ニューヨーク大学ランゴーン医療センターにて死去

 

次回こそは「ロサンゼルス自然史博物館の話?」 To be continued…

 

 

執筆者プロフィール

M・I
M・I
日本で最もトム・エバハートを知る男。アトリエツアーをはじめトムさんについてはお任せください。

最近の投稿

関連記事

カテゴリー