漢の独り映画鑑賞録Vol.4『ショーシャンクの空に』
名作は色褪せることなく、いつの時代も心に響くものだ。
誰もが知っているだろう「ショーシャンクの空に」はやはり人に伝えていきたい。
名作中の名作で言われなくてもわかるよ、って方は失礼。
でも紹介したくなるんだな。
すでに観た方は分かりますね、この感動を。
40を過ぎたオジサンには時折こうした染み渡るヒューマンドラマを味わいたくなるのだ。
最初に言っておきたいが、この映画の見どころってどこなんだろうか?
CG駆使した派手なアクションがあるわけもなし。
ストーリーはほぼ刑務所内で見栄えが凄いわけでもない。
※ただし映像美と音楽はこれまた素晴らしい。
ただ希望を持って生きることをテーマにした、シンプルでどこにでもあるような話かもしれない。
しかし他の映画にはない、やはりこの映画だからこそのストーリなのだ。
ミーハーな自分にはうまく説明できないが、約2時間20分ナニかを感じながらあっという間に見入ってしまう。
観終わった後の爽快感は、まさしくヒューマンドラマの一つを味わえるはずだ。
私的には、ストーリーはもちろん、主人公“アンディ”(ティム・ロビンス)ともう1人の主人公と言える“レッド”(モーガン・フリーマン)、そして全役者の演技が素晴らしいと素直に思えた。
何回も観た感想だ。
セリフと表情がたまらない。
特にモーガン・フリーマンの表情の一つ一つは本当に痺れるな。
わざとらしくもなく、英語もわからん自分にも、表情とセリフで深みを増していると思わせてくれる。
まさに名優。
希望もなくした年老いた囚人が解き放たれ、しかし「友達」のおかげで生まれた希望を求め旅立ち、アンディと抱き合う姿、、、
最後の数分は心の中で幸福感に満たされます。
モーガン・フリーマンよ、この感動をありがとう。
そして主人公アンディもやはり名演でした。
冤罪による終身刑で夢や希望がない人間は廃れていく。
絶妙にそう理解させられていく物語の中で、アンディの人としての強さと優しさがなぜか明るく力強い。
鑑賞者の自分がそう思うんだから、映画の中の周りの囚人たちも変わっていく姿に共感できる。
敵対する囚人とのいざこざ、優しく包み込む“友人たち”、権力で支配する所長や看守たち…。
長い年月の中でアンディに影響され変わる様は決して劇的でもなく、しかし心境の変化をうまい具合に見せてくるではないか。
ジェットコースター的ではない、淡々としたストーリーなのに引き込まれていく。
アンディ目線から始まるので、よりアンディを応援している自分がいる。
ただ一言「強い」。
自分の居場所をつくっていく姿は、果たしてどんな希望が待っているのだろうかと期待している自分がいる。
アンディとレッド、終身刑という先がわからない時間の中で、それぞれの生きる様がどこかカッコ良く見えたな。
まだ観たことない方は、「冤罪による終身刑を受けたエリート銀行マンが絶望的な刑務所内で生き抜く。その中で生まれた友情物語」として観てください。
ただの脱獄映画ではない。
これは脱獄がテーマではないのだ。
冤罪を晴らすチャンスがどうなるか気にし過ぎたらダメ。
そこに至るまでの愛情、友情、そして人生観を提示する映画なのだ。
脱獄映画として期待するなら観ない方が良い。
リアリティを追求しすぎるのもやめた方が良い。
女性が出ないことをつまらないと小さい気持ちで観ない方が良い。
少しばかりの勧善懲悪が最後のストーリーの爽快感につながるのだから、物語中の全てが最後に収束することを素直に受け止めてほしい。
起承転結、その全てが見事に表現された映画なんだから。
あぁ、目を閉じて映画を思い出そう。
薄暗い刑務所なのに笑い合う囚人たちの笑顔。
ビールをうまそうに飲む泥だらけのシーン。
アンディやレッドの何気にない小さな喜びで微笑む表情。
悪どい所長たちとのやり取りの緊張感。
アンディが自由を手に入れ、雨に打たれて“ショーシャンクの空に”叫ぶ超有名なシーン。
友情が導いた再会のシーン。
遠い空から映す二人の抱き合うラストシーンは「おめでとう」と心の中で伝えてしまいました。
「ショーシャンクの空に」はいつの時代も心に響く映画だ。
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