漢の独り映画鑑賞録Vol.3『グッドウィルハンティング』
ある青年の葛藤と成長のストーリー。
才能あふれる主人公を自分に置き換えるなんてできないはずなのに、なぜか共感してしまう。
素人考えだが脚本、俳優すべてが作品にマッチした映画だからではなかろうか。
悪友たちと酒・暴力・女の毎日を過ごす主人公ウィル。
演じるは若き日の「マット・デイモン」。
瞳の美しさ、くしゃっとなる笑顔、怒る顔、全部カッコ良すぎるだろ。
儚げな可愛さも合わせ持つ端正な顔立ちは、以降人気俳優になるのも分かる。
当時思わなかったけど今見返すとなんてイケメンなんだ、と思う俳優さん多いよなぁ。
親友役の「ベン・アフレック」ももちろん若かりし頃で、アメリカの“ヤンキー”感がはまり役でイカしてる。
日常では絶対に関わりたくないヤンキーたちで、勝手な都合で人を小馬鹿にする姿は正直ムカつく。
しかし目標もなく諦め半分の生活を過ごす中で荒れていく気持ちもなんとなくわかる。
時間が経って観ると、また違った感情でキャラクターを観れている自分がいるのが感慨深い。
そんなやさぐれた毎日で出会う“恋人”や、ウィルの才能に惹かれ更生させようとする大人たち。
それぞれの想いがぶつかり、これからの人生がどう進んでいくのかが物語のテーマだ。
名門マサチューセッツ工科大の“数学のノーベル賞”と言われるフィールズ賞の受賞メダルを持つランボー教授。
彼が生徒に課題にだした、教授でも難解な証明問題を解き明かしたものがいた。
生徒の誰でもない不明の天才。
それが清掃バイトをしていたウィル。
ウィルを探し出し、次第に才能に惚れ込んでいく教授。
荒んだ生活でまともな教育も受けていないのにも関わらず、歴史上の数学者を彷彿とさせる姿にランボー教授の使命感が生まれ、ウィルをまともな“道”へ導かなくてはならないと手を差し伸べ、更生のためのカウンセラーを用意する。
しかし頭が良すぎるウィルはことごとく論破し、大人に対して心を開かないことに皆匙をなげてしまう。
このカウンセラーとの数々のやり取りは心の奥底にある何かしらへの憎悪が感じ取れる。
何をすればこの若者を変えることができるのか?
はがゆい時間だけが過ぎ、ランボー教授は旧友である精神分析医で大学講師のショーンをカウンセラーとして登場させるのだ。
このショーンを演じる俳優が名優「ロビン・ウィリアムズ」だ。
この出会いからこの映画のストーリーが始まると言って良い。
とにかくロビン・ウィリアムズだからこその包容力が素晴らしいので是非観てほしい。
ストーリーとしてはショーンによってウィルが成長していくともはやわかるのだが、そうは簡単にはいかないわけで。
ショーンもウィルに対して不快感を覚えながら何をすれば良いか探りながら根気よく接するのだけど、、、垣間見えるウィルのどうにもならない心。
養父からの虐待により生まれたトラウマは根強く、ウィル自身が人間性を否定するものであり、未来への希望も何もないことが悲しいほど伝わってくる。
それでもショーン、親友、そして恋人との時間が次第にウィルに明るい未来が見えてくるようになる。
劇的なことや大きなキッカケがあるわけではないが不思議と若者の変化を感じられる。
観ているこちらの心が晴れてくるようだ。
物語はすすむとウィルの笑顔が増えてきたように見える。
あと一歩。
もう少しでウィルの新しい人生が始まると期待感が出始めたのに。
あぁ、しかし残念ながら最後の最後、やはりウィルの心は閉ざされてしまうわけで…。
ウィルへ期待する大人たち。
純粋にウィルを愛する恋人。
前へ進んでもらいたい親友。
先へ進むことを恐れるウィル。
様々な角度からの愛情が優しく表現される物語は観終わったあと心地良い。
最後に決断するウィルの姿が子供の成長を見ているようで純粋に嬉しい気持ちになるんだ。
ウィルをはじめ、登場人物たちがその後どうしていくのか想像すると幸福感も感じられる。
ウィルとショーンの関係が友であり親子のような、そんな最後のやり取りは望んでいたラストだった。
実は妻に先立たれたショーンが、ウィルとの時間で自身の悲しみを受け入れていくようにも見えて、その弱い部分がウィルと対等な関係性をつくっていく過程だったと思う。
そして親友だからこそ厳しくも愛ある“説教”がウィルの心を突き動かしたと感じたので、オススメなシーンである。
相手とまっすぐ向き合うから伝わる本気の言葉。
『君は悪くない』
シンプルなこの言葉こそが、この映画のメッセージなんだな。
何か自分らしく生きたいな。
そう感じることができた心暖まる映画でございました。
さて、こちらはどなたが監督、脚本なのかな?
と調べるとなんと脚本「マット・デイモン」「ベン・アフレック」の共同制作⁉︎
マット・デイモンとベン・アフレックが幼馴染⁉︎
しかもマット・デイモンがハーバード大学在学中に執筆⁉︎
なんなんだこの人たちは…。
と有名な情報ですが、また一段と愛着ある作品となりました。
天晴です。
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