エバハート「出会い物語」by D.Y

更新日 2024年03月27日
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今回は「スタッフD.Y」が初めてトムさんにあった日のことを語ります…ー

EVERHART, ENCOUTER STORY In the case of D.Y

“トム・エバハート”を知ったのは2006年。

スヌーピーという特別なキャラクターとアートという未知のジャンルに、当初戸惑いばかりだった。スヌーピーだからみんな絵を買うんだろうか、そんな思いの中展示会にいた。しかしそれは時が経つごとに、スヌーピーがというより、皆トムさんのテーマやアートに惹かれているのだと気が付いた。

 

時は流れ2011年、第2回アトリエツアーにスタッフとして初参加し、“トム・エバハート”本人と初対面をはたすことになる。

当日はアメリカの日差しが眩しい、でも爽やかな天気。天気までもがトムさんに会えるこの日を祝福してくれている。前日までツアーを楽しんでいたお客様達も、この日ばかりは心なしか言葉数が少なくなっている。アトリエに向かうバス車内ではどことなく緊張感があった。由良は強気に、楽しめば良いんですよ‼︎なんてお客様達に声をかけていた。

 

「アトリエに到着しました」

アナウンスが流れ、白くオシャレな一軒の家の前に到着した。

その瞬間、余裕ある態度でいた自分の中で、一瞬で緊張しトリハダがたったのを覚えている。

 

バスを降り路上で右往左往する日本人の団体を見て、通りすがりの人達は訝しげな視線で我々を見てくる。

それでも誰も声を出さない。いや、出せない。

1、2分だったであろうその時間が、ものすごく長く感じた。

 

えっ…

これからどうするんだ…?

頭の中がすでにパニックになっている。

「由良さん、これからどうするの?」なんてお客様から聞かれてもうまく答えられない。

 

その瞬間。

家の扉がゆっくりと開かれていく。

皆が一斉に扉の方へ振り向く。

アトリエの中が少し見えていき、トムさんの大きいキャンパス作品がのぞいて見える。

おぉ…なんて小さな声が聞こえる。

そしてスローモーションのようにゆっくりと扉が開け切ったその先に、あの“トム・エバハート”が笑顔で腕を広げて我々を迎えてくれた。

あの写真の中でしか見られなかったトムさんが、今ほんの3m先にいる。白い服装で爽やかに、そして背が高いダンディな佇まい。

メチャクチャ笑顔で我々を見渡し、「ようこそ日本の皆さん!さぁ、中へ入って」なんて声をかけてくれた。面白いもので、あれだけ緊張して声をだしていなかった皆が、その一声からトムさんに集まる。皆子供みたいに笑っている。一人また一人と、アトリエに入っていく。

 

最後に由良がアトリエに入ろうかというところ、トムさんが笑顔でゆっくりと目の前に歩いてきた。

 

えっ?

日差しにあたるトムさんが、それはもう神々しく見えた。

あれだけ会いたかった人が今目の前にいる。

「〜〜〜〜〜」

何か言われた。

しかし頭の中が真っ白とはまさにこのことだ。差し出された手を握り返したのは、体が勝手に動いたからだった。

気を取り直し、こちらからも話し返そう。

「うっ…あっ…えっ…」

なんて言葉がでてこない。

トムさんに会ったら「Nice to me too‼︎」って言うんだと心に決めていたのに‼︎

緊張で言葉がでないなんて初めての経験だ。

「こ、こんにちは…」

って言ってしまった。キョロキョロしてしまい、みんなが笑っている。それを察したトムさんは、またハハハッと笑い、そして軽くハグしてくれた。

 

腰が砕けそう…。

全く足に力が入らない感じ。

 

正直自分は昔から芸能人とかスポーツ選手など、いわゆる“憧れの人”みたいな感覚がない。だから感動が薄い面があると自覚している。だからこそ、この時のことは今思い出しても驚きの出来事だった。

 

別れの挨拶で、ハグをしながら「また会おう、マイフレンド」と言われたことは一生の宝物だ。

この写真はスタッフD.Yがトムさんとの初めての出会いから12年後の2023年、コロナ禍以降実に4年ぶりとなる再会の様子です。

執筆者プロフィール

D・Y
D・Y
見た目では一見怖く見られがちですが、展示会に来て笑顔の方を見ると幸せな気持ちがでてしまう、最近母性的心情が強いメガネのおじさん。年々太ってる。

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