漢の独り映画鑑賞録 Vol.1『ロック、ストック&スモーキング・バレルズ』

更新日 2025年04月01日
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さて、大人の休日として映画を久々に観てみよう。

新作を楽しむのももちろん良いのだけど、若い頃に観て心にささった作品を大人になった今改めて観ることは面白い。

 

私事だが、学生時代近所のレンタルビデオ屋で暇さえあれば様々な映画を借りて観ていたものだ。

ロマンチックな恋愛をしてみたくなったり、ちょい悪ぶった気持ちになったり、刺激を味わった時間だった。

 

では、改めて今なお「面白い‼︎」と心に残る作品を観てみようではないか。

今回の映画は、

『ロック、ストック&トゥースモーキング・バレルズ』

鬼才ガイ・リッチーが監督・脚本を手掛け、後のヒット作を連発するキッカケと言っても良い名作。

今なお自分の中でヒット作であることは約25年変わりない。

 

舞台はごく日常的なロンドン。

埃漂う下町の空気感と曇空の落ち着いたカラー映像がこれから訪れる荒くれ者達の緊張感が漂っている。

とある若者2人が路上でインチキ商売で小金稼ぎをしているところから始まるストーリー。

洒落たセリフ一つ一つを聞いているだけで、異国情緒を感じれるのだから不思議だ。

 

まともな仕事をしていないエディ、ベーコン、トム、ソープの悪友4人がスタイリッシュに紹介され、この4人の計画『ポーカーで大金稼ぎ』を企てるところからストーリーは大きく動きだす。

なけなしの金をそれぞれ出し合い、街賭場の元締めハリーに挑む。

ギャンブルが得意のエディが4人を代表して、次第にヒートアップしていく。

悪は悪。

エディはイカサマに敗れ、借金50ポンドという大金を1週間以内に返済しなくてはならなくなり、ベーコンたちと一世一代の犯罪を企てていく。

それはボロアパートの隣に住むドッグ率いるギャングたちが企てる大麻栽培の奴等から大金を奪い取り、それをエディたちがさらに奪い取るというもの。

 

それにしてもエディがカードで負けた時のカメラワーク。

表情と絶望感でなんとかしないと…と観てるこちらも引き込まれていくようだ。

 

 

さてこの窮地に4人はどう活路を見出していくのか気になるところだが、ここまでで場面がちょくちょく変わり、隣に住むギャング、大麻栽培している学生グループと彼らと取引している黒人マフィア。

さらにチンケな泥棒や元凶であるハリー一味などそれぞれ登場人物がどんどんでてくる。

一見わかりにくく思う人もいるかもしれないが、それぞれのストーリーがエディ達の行く先々で確かに絡まっていき各陣営の思惑がどこに向かっていくのか、話の展開とスピード感がどんどんストーリーに引き込まれていく。

 

それぞれの陣営のストーリーも短いながらも濃密で、物語のキーアイテムである「大麻」「金」「2丁の銃」を巡り、思わぬどんでん返しが繰り返していく様が複雑なようでキレイにまとまっていくんだから面白い。

 

正直どいつもこいつも悪いことしかしないし、よく考えたら良い奴なんていない。

なのに憎めないキャラクターたちでコミカルでクスッと笑えるのも飽きないところだ。

 

そしてクライマックスにつれ、入れ違いから「大麻・大金」を盗むギャングとマフィアの壮絶な撃ち合い。

元凶ハリーと泥棒の撃ち合い。

そこに割り込んでくる主人公たち。

さらに主人公たちと取り立て屋の「2丁の銃」を巡る小競り合い。

別々に始まったストーリーが一つに収束していく様は、荒廃した雰囲気なのに爽快感でホッとする。

このゴタゴタ感のあとの物語のエンドがたまらない。

最後まで生き残るエディたち主人公の悪運と最後のおバカなやり取りまで、飽きがこないのは秀逸だろう。

 

しかし、当時この映画は斬新でかつ荒廃感があるロンドンが舞台というカッコ良さが最後まで漂うのはこの監督の創り出す世界観ってやつだと思う。

映画の雰囲気をつくりだす音楽がまたカッコ良いんだ。

大げさに言えばエンターテイメントがつまった映画となっているのだ。

 

俳優も、ミュージシャンのスティングが一癖ある父親役だったり、今や人気俳優のジェイソン・ステイサムなど、個性あふれる悪い大人の群像劇となっているのが、いつまでもこの映画を珠玉の一本と押せる理由である。

 

とにかくこの雰囲気が好きな人にはたまらなくカッコ良い映画であることは間違いなし‼︎

『パルプフィクション』が好きな方は良いと思う。

最初からあっという間の100分間を味わってほしい。

 

 

ただし。

今の時代この作品をモチーフにしたようなドラマや映画は多々あるがゆえ、重なり合っていくストーリーのいく末がわかってしまう人もいると思う。

天邪鬼な見方をする方には、ある種退屈さも感じるかもしれませんな。

 

あと派手なアクション、演出・映像を求める方にはこの映画に求めないで頂きたい。

あくまで、スタイリッシュでクールでジェットコースター的ストーリーを楽しみたい方、そして洒落をわかる方におススメだ。

人を選ぶかもしれないのを承知で観てほしい。

 

そして、この作品にともないTVドラマシリーズも制作されている。

キャストは違うが、同じくガイ・リッチーが監督なので面白い。

気に入ったなら是非こちらも観てみた方が良い。

ビールやウィスキー、お酒を飲みたくなるような映画と紹介しておきましょう。

 

 

執筆者プロフィール

D・Y
D・Y
見た目では一見怖く見られがちですが、展示会に来て笑顔の方を見ると幸せな気持ちがでてしまう、最近母性的心情が強いメガネのおじさん。年々太ってる。

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