エバハート「アートに惹かれる」by D.Y
今回は、「スタッフD.Y」がトム・エバハートのアートに惹かれたきっかけを語ります…ー
The Charm of Everhart’s Art
〜それはとある夏のとても暑い日〜
お昼過ぎの穏やかな展示会の中、1組のご家族が来場されました。
パパとママ、そして二人と手を繋いでニコニコな娘さん。
その娘さんは顔ぐらい大きなバスタオルを頭に巻いて、夏休みのプール後というのが一目でわかる可愛らしい姿。
微笑ましく見ているだけで幸せな気持ちになります。
絵を見ながら「可愛い〜♪」と言いながらはしゃぐ娘さん。
「スヌーピー好きなんだね〜」と声をかけると、「可愛くて好き‼︎」と元気にお返事。
親御さん達はトム・エバハートのことは知らず、娘さんのために来場されたとのことでした。
ご家族さんもみんなスヌーピーが好きでしたが、トムさんや版画について、つまりアートについては今まで自分ごとでは全くない様子でした。
みんなにトムさんに興味を持ってもらいたいと思っていても、無理強いするものではなし。娘さんは途中少し飽きちゃったのか、由良に小学校のお話をたくさんしてくれる…。
可愛い…。
パパも話に加わり、絵を観ているママを3人で待っていると、とある絵の前でママが立ち止まり、「この絵ってどういう絵なの?」と絵をジッと見つめながら尋ねてきました。
素直にその作品について「2010年に描いたピーナッツ60周年にあたる記念の作品なんですよ〜」と何気なく返答すると、キッ‼︎と振り返り由良を見つめてきました。
その目力に少しビクッとしてしまいました。
優しそうな雰囲気のママから迫力を感じ、少しドキドキする。
怒られるんですか…。
何か気に触ること言っちゃいました…?
ほんの少しの間に後退りすると、「うちの子にそっくりだわ…」とポツリと言いました。
なんのことかよく分からずいるとどうやら上のお兄ちゃんがいるようで。
絵の中でスヌーピーが並んで笑っている姿が、2人のお子様たちに見えたとのこと。
通り過ぎていた絵を改めて観て、「この子もうちの子に似てる‼︎」「あれも似てる‼︎」と全然違うテンションで絵を見始めました。
急に全ての作品に描かれているキャラクター達が、自分の子供達に重ねて見えたようで、それぞれの作品についてもどういう絵なのか興味がわいた様子。
一通り作品を見た後、最初に興味を持った絵の前に戻り、ママが娘さんを抱きしめながら「この子2010年生まれなのよ。やっぱりこの絵が一番娘に似てるし、一番可愛く見えるわ。この絵が良いわ」と。
パパと目が合いました。
そしてパパが「えっ、うちに飾るの…?」と聞くと、「これはうちの絵にピッタリでしょ」とママが返し、なんとその絵を購入してくださいました。
急な展開で戸惑うパパが「なんで急に絵に興味持ったんだ…」と呟いたのが印象的で初めてのアートデビューとなりました。
その後絵が届き、飾った様子も伺うと、ママを筆頭にどうやら御家族がスヌーピーをもっと好きになったのこと。
そしてトム・エバハートの人柄、作品、想いにも共感し、トムさんが大好きになってくれたのでした。
その後の展示会にも来てくれて、「お兄ちゃんと自分の絵」なんて嬉しそうに話してくれる娘さんを見て紹介できて嬉しかったなぁ〜、としみじみ。
ご家族の一生の宝物として迎えられた作品『Bros.』にまつわるお話でした。
「スヌーピーが好き」から「トムさんが好き」になる方が多いのではないでしょうか?
トムさんの絵の魅力はたくさんあります。
トムさんの絵だからこそ、普段のスヌーピーとは違うモノがあるはずです。
アートとの出会いは突然に、そしてそこら中にあるはずです。
自分だけの特別なアートの楽しみ方を見つけて欲しいですね。
アートに詳しくない?
関係ございません。
どんどん好きになっていくその過程を楽しむのもアートなのです。
ということで、トムさんのアートの魅力をより深く教えてくれた、由良にとってとても素敵な出会いのお話でした。