”編集長代理”の徒然ESSAY No.7「お家でできる土鍋ごはん」

みなさんご無沙汰しております、編集長代理です。
すっかり暑くなりましたね。6月に地元の福島県に戻り、田舎から日本全国に飛び回る生活をスタートさせた私ですが、東北も南の方は昔のような涼しさはすっかりなくなってしまいました。25年ほど前は最高気温も30度になるかならないかという日がほとんどだったと思います。あまりにも暑いので、休日は山へ出かけたり、川に泳ぎに行ったり、そんな毎日…。そして日々虫との戦いです(笑)
さて今回は、最近私がハマっている釣り堀と、料理人時代に教わった土鍋ご飯について書きます。
幼い頃に憧れていたものは、大人になった今でも私の心を踊らせてくれる。
化石や遺跡の発掘体験、テレビで見る古代エジプトのミステリー、夜の森の冒険…etc. そして、魚釣り。
私は残念ながら気がそう長くはない。のんびり海を眺めながら魚がかかるのを待ったり、渓流を上って長い竿で川魚を狙ったりすることは、とてもじゃないが向いていないのだ。
そんな私がここ数年楽しんでいるのが釣り堀である。篠竹に釣り糸と針がついただけの簡素な竿で、主にニジマスやイワナを釣る。魚を釣り上げるときの高揚感は他に代え難く、私が長年大切にしている「生き物の命をいただいて生きている」という実感が一番強く感じられるのもこの瞬間だ。
田舎に戻って暮らし始めて、食事が旬に寄り添うようになった。自宅の畑で作物を育て、山菜は時期を逃したがまだまだ山の幸は色濃い。それに加えて、釣り堀で魚を釣って捌くのだ。先日はニジマスの大きなものを2匹釣り上げた。

ニジマスは大きくなると、身が綺麗なピンク色に変わる。今回のものはそれぞれ3kgを超えていた。捌きながらどうやって食べようかと思案した結果、刺身、切り身、アラ、小さな切り身は塩漬けにして息子のお弁当用にすることに。

刺身の盛り付けはなぜかいつもうまくいかない…。
私が普段から食べている川魚は、鮎、イワナ、ヤマメ、ニジマスくらいのもので、その中でも特にニジマスが多い。自宅から車で5分ほどのところに養魚場があるのも要因として大きいのかもしれないが、料理の幅が広いところも食べる頻度に直結していると思う。海の魚よりも臭みが少ないので、小さい子供にも食べさせやすい。
その日に食べるもの以外は冷凍をして保存する。アラは大抵汁物にするので、この日も畑から大根を抜いて煮込んでいた。さぁいざ最後の仕上げだと思った時に、なんと母親から「味噌が切れている」と告げられる。私にとってアラ汁は味噌味が定番、この日も完全に味噌の口だったが、暑さと欲に負けて私はすでにチューハイを飲んでしまっていた。一番近いスーパーは車で10分、これはどうすることもできず、醤油で仕上げることに。物足りなさを感じながらも、鍋いっぱいのアラ汁。しかしこの真夏にこれを何日ももたせることはできない。家族に振る舞ってもまだ余る。
どうしたものかと考えながら家の中をうろうろしていると、自分の食器棚に土鍋を見つけた。…これだ…ー!
野菜やアラはほとんど食べ終わり、鍋には汁だけが残っている。それをザルで漉して、ビニール袋(我が家ではアイラップを愛用している)に入れて小分けにし、そのまま冷凍庫へ。そのうちの1つは冷蔵庫で冷やしておく。
次に用意するのは大きめに切っておいたニジマスの切り身、そして米。私は米を測らない。これは料理人時代に先輩から教えてもらった「土鍋ごはん」の炊き方で、家にコップさえあればご飯を炊くときの水の量が分かるというもの。米と水の量は同じなのだ。私はお土産でもらった石垣島の牛乳屋さんのキャラクター「ゲンキ」がプリントされたステンレスのコップを愛用している。これに米を1杯分すくい、といで水に浸しておく。夏場なら常温で30分もあれば十分で、あとは水気を切って下準備は終わり。
我が家は20年以上前に両親が建てたオール電化住宅、しかし私はIHコンロが嫌いだ。普段食べるご飯であればフライパンでもホーロー鍋でも何でも良く、もちろんIHコンロでも十分だが、今回炊こうとしているのは「土鍋ご飯」。こういう時はカセットコンロを使う。
土鍋に米、刻んだ生姜、そして漉したアラ汁を先ほどのコップに1杯分入れて蓋をし、火にかける。このとき土鍋の蓋の穴にアルミホイルを被せておくと、炊いている途中の熱湯が噴き出しても安全だ。
私の遠い記憶によると、火で米を炊くときは「はじめちょろちょろ、なかパッパ」だったと思う。「赤子泣いても蓋取るな」である。
しかし夕方の台所は戦場、私は最初から強火にかける。そしてその間に解凍しておいたニジマスの切り身をグリルで焼いておく。
※これについてインターネットで調べたところ、「はじめちょろちょろ なかぱっぱ じゅうじゅう吹いたら火をひいて 一握りの藁を燃やし 赤子泣いても蓋取るな」が全文らしい。(出典:https://hajityoro.com/hajimetyorotyoro)
沸騰したら火をごく弱火にし、5〜6分。弱火でどのくらい火にかけるかは、その時に炊く米の量によるが、土鍋の場合は香ばしい香りが漂ってきたら火を止めるのがポイント。そして15分蒸らす。絶対に蓋は取らない。
食べる前に、焼いた魚の身と刻んだ小ネギを散らす。

身をほぐしながらご飯と混ぜれば、魚の旨みがたっぷり染み込んだ炊き込みご飯の完成だ。
これがあまりにも美味しい。醤油でアラ汁を作ることにならなければ、この炊き込みご飯を思いつくことはなかったのかと思うと、味噌が切れていたことに感謝してもしきれない。ご飯を炊くときの出汁としてアラ汁を使ったのは初めてだったが、冷凍のストックもあることだし、定番メニューに加えることにしよう。
一度土鍋でのご飯の炊き方を覚えてしまえば、おかずのいらない主役級ご飯が完成する。土鍋をどんと食卓の真ん中に置けば、あとは汁物とお漬物さえあれば良い。
いよいよ夏も本格化してきた、次は夏野菜で漬物を拵えよう。